美しいもの

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ものやお金をもらうこと

申し訳ない。この気持ちが先行する。

人から物をもらうのはとても苦手だ。お金も同じく。恋人はたくさんプレゼントをやりとりするイベントがあるらしい。誕生日、記念日、クリスマス、バレンタイン。

泣いてしまう。これを書くのもはばかられるほど私にとってはトラウマな出来事なのだけど、私は物心ついたときから、人から物やお金を与えられることにものすごい抵抗を感じていた。幼稚園児のとき、私は毎週のように祖父母の家に預けられていた。祖母は毎週おもちゃを買ってくれた。曽祖母は毎週1000円のおこづかいをくれた。祖父に100均に連れられ、「好きなだけ買っていいぞ」と言われた。

好きなだけ買っていい!!!!!!!!!!!!!

その一言が私には強烈なトラウマになった。好きなだけ?私がこの店のもの全部買うと言ったらどうするのだ、と想像した。末恐ろしい気持ちになった。本当に恐ろしかった。私は毎週おもちゃを買ってもらうのはとても嫌だったけれど、祖母が買えと言うから渋々大して欲しくないおもちゃを選んでいた。祖母の家にはたくさんのおもちゃが衣装ケースに入っていた。気持ち悪かった。体の不自由な曽祖母がしわくちゃの手で渡してくれる1000円札を、いつも嫌々受け取っていた。私が少しでも「欲しい」と言ったものは、父親が私を連れて買いに行った。私はそれを手に入れたいと思って言ったのではない。私はそれを持つことがかっこいいとか、憧れるとか、そういう文脈で言っただけなのに!!!!!!!!!!!!私は嫌だった、電気屋まで連れて行かれて本当にいらないと言ったのに、最新式のiPodを買ってもらった。小学生の頃の話だ。それをやっと使い始めたのは、その2年後だった。

 

買い与えられる環境で育ったのに、なんでも買ってもらえるとおごるわがままな子に育たず、買ってもらうことに罪悪感を覚える子どもに育った理由は分からない。元々の私の性格の問題なのか。とにかく私は今でも、人から金銭的なものをもらうことにとんでもないまでの罪悪感、嫌悪感がある。プレゼントなんていらない。おごってもらうのも嫌。自分で買うから。自分で払うから。恋人にも、プレゼントは誕生日だけでいい、と言った。高い贈り物、ブランド品は特に嫌だ。私はそのようなものに興味があまりないし、それ以上に、罪悪感が何倍にも増すのだから。

 

ああ、もう一つ思い出した。私が高校生になるとき、祖父がとても高価な時計をプレゼントした。私はとても嫌だったが、家族は総出でお祭り騒ぎ、祖父も「形見だからもらってくれ」と元気に笑っていた。祖父は本当に、その数年後に亡くなったのだけど。

もう嫌だ。私は人から物をもらうのが苦手なのだ。家族でも、恋人でも、友人でも。カウンセリングでこの話をしたら泣いてしまった。なぜ泣くほど嫌なのか私には分からない。どうして物をもらうことにこんなに抵抗があるのかなんてもっと分からない。でも私は未だに、「好きなだけ」という言葉を聞くと、深い深い谷に落ちてしまうような、末恐ろしい気持ちになるのである。