7月に入ってからの梅雨のにおい
7月に入ってからの梅雨のにおいがする。
梅雨のにおいではない。雨のにおいでもない。梅雨の中頃のにおいでも後半のにおいでもない。
"7月に入ってからの梅雨のにおい"がするのだ。
ここ数日は、過去のことが反すうしている。
7月に入ってからの梅雨のにおいのせいか。
6月は苦手だ。なぜか分からないけれど、ここ7年のうち4回の6月で調子を狂わせてしまった。
梅雨は梅雨でも、7月の梅雨は比較的平気だ。
早く夏が来てほしい。日差しを浴びたい。
河原の景色、公園の視界、においを思い出す。
君がどこで何をして生きているのか、私は知らない。
ついさっき連絡を取ったのに、返事がない。
死んでしまったのではないかと不安になる。そんなわけないのに。
電車や線路が輝いていた。
こんなに美しいものがあっていいのか。
できれば一度、踏切の真ん中に立って、延々延びる線路を満足いくまで眺めてみたい。
電車に乗って、そのままどこかへ行ってしまいたい。遠くへ。遠くへ。
手を引かれてハッとする。
私はいつだってあのときのままだ。
この頃は日常が目まぐるしくて、生きることや死ぬことに目を向ける暇がなくなったなあ。
きらきらな日々。
私はきらきらな日々を過ごしながら、梅雨が明けるのを待つよ。