おともだち
「傷ともおともだちになれるよ」
と言われた。
滅多にないが、物に当たりたくなることがあった。その日もそうだった。買ったばかりのスマホをぶん投げた。投げてはいけない、割れる、壊れる、と思うながらも投げることを防げなかった。壊したくないという思いがあったので全力で投げつけられなくて、でもその画面には少しだけ傷が入った。自分のメンタルのせいでこんなことになってしまった、物に当たったがむしろ嫌な気持ちは増長するばかりだった。
友人に連絡した。つらい。物に当たりたくなった。スマホを投げた。傷がついた。もう嫌だ。
そのときに友人が言ってくれた言葉だ。
傷ともおともだちになれるよ わたしはもう傷とおともだちだよ
ああその携帯を今でも使っているが、本当におともだちになっている。携帯の一部になっている。
ああ私のうつ病ともおともだちになれるんだろうか。疲れやすい体、うわああああと崩れてしまう心、そういう傷とも、いつかおともだちになれる日が来るのだろうか。私はきっと来ると信じているけれど、そうなる日がいつになるのか、それはさっぱり分からないなあ。その傷ともおともだちになれるよ、きっと友人ならこう言ってくれるのだろうか。