美しいもの

美しいものを追いかけていたい http://twitter.com/kasg_wr

気になる人

嫉妬。羨望。

世の中いろいろな人間がいるけれども、私が出会った人の中にそういう人がいる。

高校時代のある知り合い。女の子。なぜか私と仲の良い人の多くが、その子とも仲良しだった。不思議なものだ。その子とは少し波長が似ていると思っていた。フレンドリーな人ではなかったが、友達が多く(しかもその友達には私と仲の良い人が多かった)、いつも彼女の周りには人がいた。発言も面白く、見た目も私好み、接点が少ないのに、高校3年間、ずっと気になる人だった。その子の姿を気づけば追っていた。そういう人だった。

共通の友人が多かったため、何人かで連れ立って、学校のイベントに一緒に行ったことがあった。ほかの人たちが別行動をしているとき、私と彼女で2人きりになる場面があった。グループ内の大して仲良くない2人が2人きりにされた感じ、だった。お互い人見知りなので当たり障りのない会話を当たり障りのない口調でしたのを鮮明に覚えている。彼女との直接的な思い出はそれくらいだ。

そして彼女は、私と志望校が同じだった。私は受験に失敗し、志望校ではない学校に進学した。彼女もまた、不合格をもらったそうだ。そして1年後、彼女は浪人して私たちが目指していた志望校に合格した。

彼女が、私と志望校が同じであることを知っていたかもわからない。共通の友人が多かったために、またその進路がマイナーだったために、もしかしたら情報として知っていたかもしれない。少なくとも、同じ学校に行きたい仲間として一緒にがんばろうねといったような、そういう関係ではなかった。そこまでの接点がなかったから。ただ、向こうはなんとも思わなかっただろうが、私は彼女を意識していた。いや、無意識的に意識せざるを得なかった、という方が的確だ。彼女が浪人して志望校に合格したことを知ったとき、崩れ落ちそうな気持ちになった。浪人していることはひっそり知っていたから、誰にも言わなかったけど、落ちろ、落ちろと心の奥底で思っていた。

彼女は可愛くて面白くて、友達が多くて、なぜか惹かれるところがあった。きっと気があうと勝手に思っていた。しかし、私の人間関係と重複しているところがあったり、なんでもそつなくこなす姿、志望校が同じ、どうしても気になる存在でもあった。

羨望と、嫉妬。

疎遠になり(元から仲良くもなかったが)、志望校で彼女がどう過ごしているのか全くわからない。それでも、未だ彼女はなぜか惹かれる、気になる存在であることは間違いない。好き、憧れ、羨望、いいなあ、もやもや、気になる、嫉妬、妬み、悔しい、ずるい、そういうあらゆる感情が彼女に向いている。なぜだか分からない。サイコパスは魅力的に見えて、周りの人達をひきつけると言うが、そんな感覚に近い。もっともこの話は私1人がなぜかそんな感覚になっていると言うだけの話で、彼女がサイコパスだったとは言いがたいだろう。ただそういう感覚が近いというだけの例え話だ。

もう少し出会い方が違えば、きっと仲良くなっていたかもしれないし、大げんかをしてそのまま疎遠になっていたかもしれない。彼女は今元気かなあ。大して接点もなく、きっと今後も交わることのないであろう人を、一方的に意識してしまうこの感情はなんだろうなと自分でも不思議に思う。恥ずかしくてそして彼女に申し訳なくて、高校時代の友人の誰にもこの話をできていない。