美しいもの
いつものように学校に遅刻して行った。か、早退しようと思ったか。
遅刻をした日は担任に報告をしなければならなかった。来たのか来ていないのか分からないから。手間をとらせてしまったと今は思う。
担任のいる部屋に行った。何らかの報告をして、立ち去ろうとした。部屋のドア越しに担任が「疲れてるだろう」と笑った。当然のように見破られていた。
そして、金の包み紙に入ったチョコレートをくれた。
チョコレートが入った箱は紫色だった。
確か遠慮して、お礼を言って、笑われてその部屋を去った気がする。
あのときのチョコレートの包み紙を今も忘れない。あんなに輝いた包み紙はなかった。あのとき同じものを買いたいと思ったけれど、結局見つけれられなかった。
机に包み紙をはさんでいたのだが、今はどこにあるのか分からない。捨てていないと思うけど。
そして今日、同じ包み紙のチョコレートを見つけた。