木箱
つらい過去や幸せだった過去で、まだ消化できないものがあるの。
なんとか乗り越えようと思い出すけど、思い出すことすらしんどくて、
だからふたをして置いておくことにした。
どんな入れ物に入れようかなと思って、はじめはジャムの瓶に入れたんだ。中身は赤茶色のドロドロのジャム。
でもふたをするのもしんどくて。
瓶のふたの形を変えたり、靴の箱に入れてみたり、いろいろ試したんだけど、どれもどうしてもきつい。
それで、木の箱に入れてみたんだ。正方形の木の箱。
ふたをしたら、なんか少しすっきりした。
私の思い出は、木の箱に入れてふたをして、そして部屋の片隅に置いておくの。
今私が置いている木の箱は2つ。
2つの木箱は、大きさが違う。
でも、どっちにどっちの思い出が入っているか、わからないの。
2つの思い出は、私にとっては似ていて見分けがつかないのかな、と気づいた。